2017.04.03

東芝・シャープ・三洋電機 日系大企業敗戦の理由

BTCA 編集部

日本のトップ企業のメーカーが次々に経営危機に貧している。
東芝・シャープ・三洋電機…日本の大手メーカーの3社はなぜ負けてしまったのか。
こちらをBTCA編集部が考察してみる。

近年、日系大企業の苦戦が続いている。東芝、シャープ、三洋電機という苦戦を強いられている日系大企業の敗因を考えていくことで、今後の日系企業の展望を見ていこう。

粉飾決算 黒すぎた東芝の3つの手口と巨額損失のウラ

現在、東芝の「粉飾決算」、「巨額損失」という2つの東芝ショックの渦中である。東芝の粉飾決算にはとても巧妙に仕組まれた3つの手口が浮かび上がってきた。

バイセル取引の中での利益過大計上

東芝は、パソコンの部品の組み立てを台湾などの組み立て会社に委託していた。このような組み立て会社をODMと呼ぶ。

東芝は、ODMよりも経営規模が大きいことを利用して、液晶や半導体などの部品をODMよりも安く仕入れ、マスキングと呼ばれる原価隠しのための差額を付して調達した部品を原価より高値でODMに再販していた。その後ODMは、その部品を使ってパソコンを組み立て、完成品を東芝が買い取るという工程を行っていた。

この一連の流れは、「部品の有償支給」と呼ばれ特に問題のある取引ではない。

この取引の中での問題は「マスキングによる原価との差額」のとらえ方にある。東芝はマスキングによる差額を原価のマイナスとして認識し計上していた。これを利用し、利益を上げることが要求される期末などには、正常の組み立てに必要な量を超えた部品をODMに販売し、マスキングによる差額を原価にマイナス計上して、見かけの利益をかさ上げしていたのだ。

在庫の積み増しによる利益過大計上

粉飾決算の常套手段ともいえる期末に前倒し生産をして在庫を増やし売り上げを上げるという手段。東芝ではこれが応用され粉飾決算に利用された。通常、半導体製造では前工程、後工程に分かれている。前工程と後工程の間では在庫は中間品在庫として存在する。

東芝では、前工程の標準原価を変更し、標準原価を変更していない後工程の原価差額までも前期の原価に配賦を行うことによって、前工程の原価が上がり、期末の中間品在庫の金額がかさ上げされ、その分利益が膨らむという方法がとられた。

期末に前倒しで生産を増やすような大きな手間でなく、標準原価を変えるだけで利益をかさ上げするという方法をとり、巧妙に粉飾決算が行われていた。

損失計上の先送り

テレビ事業や、インフラ事業では、請求が遅れた販促費を経費として計上せずに先送りしたことや、宣伝広告費を計上しないでいたことがある。また、会計監査を通すために、実現不可能なコスト削減計画を示して、実態よりも損益がよく見えるように偽ったこともあるという。どちらにせよ、粉飾決算であることに間違いない。

巨額損失の裏側

これらの粉飾決算を行わなければいけなくなった要因には巨額損失があった。巨額損失は原子力事業の赤字に大きな原因がある。東芝は、2000年代の原子力ルネサンスに便乗して強気の原子力事業への参入を行っていた。2006年には米原子力発電大手ウエスチングハウスを三菱重工との争いの末、予想額の2倍以上で買収した。これを機に原子力事業へと傾注していった。しかし、このウエスチングハウス社が東芝にとっての爆弾となっていくのであった。

日本での東日本大震災を機に、世界的な流れとして脱原発への流れにシフトし、ドイツのシーメンスも原子力事業から撤退するなど、東芝の傾注する原子力事業には向かい風となった。追い打ちをかけるように、2016年には、ウエスチングハウスの電気会社との訴訟が泥沼化して工期が遅れ、7,000億円の赤字を計上することとなった。東芝の社長は、脱原発の流れになったにもかかわらず、原子力事業へと巨額投資を繰り返すなど、強気であったが、結果的には自滅する形となった。

粉飾決算に加え、巨額損失と大きな問題を2つも抱えてしまった東芝。稼ぎ頭の半導体部門の分社化も念頭に置いているようだが、問題を抱える会社自体の変容してしまった体質改善が必要とされる。

“世界の亀山”技術の過信が産んだ巨額赤字

シャープは、2016年3月期の決算で2,000億円規模の赤字を計上することとなった。赤字の要因としては、主力の液晶パネル事業の収益悪化、生産設備の減損処理などがあげられる。また、2016年には、台湾の鴻海精密工場の傘下に入ることが決まった。

世界の亀山技術への過信

アクオスが生産される三重県の亀山工場は、部品生産から組み立てまで完全国内生産にこだわり高い品質を誇り、「世界の亀山」と呼ばれるまでになった。シャープは企業規模が小さく、液晶事業以外の主力事業がないため、世界の亀山技術を中心とする液晶事業へと力を注いでいった。しかし、この液晶事業の低迷とともにシャープも低迷することになった。

亀山技術への巨額の投資

亀山技術への投資の集中は、シャープを追い込むこととなった。減損処理をするに当たって、一般的に工場など資産の簿価をキャッシュフローの合計額が下回る時に減損損失を計上しなくてはならない。シャープの場合、亀山工場や堺工場の液晶パネルや液晶テレビ事業に集中して巨額の投資を行っていたため、液晶パネルや液晶テレビがあまり売れなくなったことで、この場合での減損損失が巨額になった。亀山技術への過信が産んだ巨額赤字の1つの例だ。

再建のめどたたず

シャープが自慢の技術力で売りにしていたIGZOの技術は、最終製品メーカーにそこまで大きく響かなかったようだ。そんな中なおシャープは、需要変動のおおきく、価格競争の激しい汎用製品市場で、自慢の技術力を手に勝負を仕掛けている。シャープにその市場を戦い抜く力はないという声も多い。自社の技術を過信しすぎたゆえに、勝負する市場の変更など、変革するタイミングを失ったつけが、赤字としてシャープには降りかかっている。

中越沖地震、リーマンショック…三洋を追い詰めた数々の悪運

パナソニックに買収されることになった三洋電機であるが、その道のりは不運に不運を重ねるものであった。

中越沖地震

最初の悪運は2004年10月に発生した中越沖地震であった。三洋の半導体子会社である新潟三洋電子の工場が被災することになった。これにより、生産ラインを一本失うなど、設備損失423億円、機会損失310億円合わせて700億円超の大きな損失を負うことになった。地震保険に未加入であったために損失が直接計上されたことが被害を膨らませた。

リーマンショック

中越沖地震の損害から立て直しを図り、2007年には、太陽電池や充電池の事業を強化した結果、黒字へと転換。再建へと手応えをつかみ始めていた頃、新たな悪運に見舞われることとなった。黒字転換のわずか1年後の2008年にリーマンショックが起きたのだ。リーマンショック後の金融危機と景気低迷を前に三洋の佐野社長は最優先事項を事業と雇用とし、自立再建を断念、三洋がパナソニックに買収されることを決断した。

三洋の解体

パナソニックに買収された後も三洋ブランドが残ることが期待されたが、そうはいかなかった。三洋の強みである電池事業の低迷が一因だ。円高や、中国と韓国の台頭などで、採算が合わなくなったのだ。三洋は、子会社化された後でさえ不運が続いた。ついには、パナソニックに買収された三洋は解体を進めることとなった。三洋の事業の多くは売却され、約10万人いた社員もパナソニックに出向するなどし、そして社員はいなくなった。

まとめ

三社の敗因を見てきたわけだが、三洋電機のように悪運にのまれた例は珍しく、大体の会社は転換地点を見失うことによって業績が落ちていったように思える。大企業ゆえの伝統と柔軟な変化とのバランスがもとめられている。

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